基数の定義


倉田令二朗・篠田寿一の「公理論的集合論」の基数のところを読んでいて、
ちょっと引っかかった所がありました。


「公理論的集合論」では、こんな定義になっていました。

集合XとYの間に全単射が存在するとき、XとYは対等(X〜Y)と言う。




整列可能定理から、任意の集合Xに対し、Xと対等な順序数αが存在する。
Xと対等な順序数のうち、最小の順序数をXの濃度といい|X|と書く。




順序数αが、α=|α|を満たす時、αを基数と言う。



が、より直感的な定義は「基数とはOn/〜の元の事である。」

つまり、順序数全体のクラスを〜による同値類で割ったものを基数全体のクラスと言う。

と、定義するべきだと思いました。


しかし、、考えてみれば、順序数αに対し、

『αと対等な順序数全体』が集合である事(真のクラスではない事)は、
それほど明らかではありません。
一方、『αと対等な順序数全体の最小元』は必ず存在して、しかもただの順序数なので、
こっちの方法なら、複雑な証明なしに基数を定義できるのです。