「日本人には名字がある」ことへの素朴な疑問
お盆に親戚廻りをすると、我が家の名字の歴史を聞かされることがあります。我が家は江戸時代は別の名字だったが明治時代に変えたとか、市内の同姓の電気屋と美容院は親戚ではないが縁があるとか。
ところで、ネット上で
江戸時代の庶民も、公には名乗れなかっただけで、みんな名字を持っていた
という説を見ることがあります。これは本当なのでしょうか?
ちょっと調べた限りでは、どのサイトや書籍も、「みんな名字を持っていた」という結論しか書いていないか、「○○寺の過去帳ではどの家も名字が書かれている」のような個別事例の証拠をあげるものばかりで、体系的な調査結果は見つかりませんでした。
また、素人考えでも色々疑問が湧きます。
- 「みんな名字を持っていた」の「みんな」とは何%のこと?明治時代に創氏した(= それまで名字が無かった)家も少なからずあるので、100%どの家も名字があったわけではない
- 江戸時代の庶民は公に名字を名乗れなかったが、いつから、どのような経緯で名乗れなくなったのか?
- 江戸時代以前の庶民は名字があったのか?
- 名字を持つ習慣はいつ生まれたのか?
- 1〜4について地域ごとの違いは?江戸時代以前は、幕藩体制であり、交通も不便だったので、地域ごとの違いが大きかったのではないか?
名字を持っていた庶民はもちろん存在はしたわけです。例えば我が家の名字は江戸時代から続いています。でも「みんな名字を持っていた」と言うと大雑把すぎるのではないかと思います。